相談しても防げなかった悲劇――老々介護と疲弊する介護現場

頻発する介護殺人。厚労省は防止策として、地域包括支援センターやケアマネへの相談を呼びかけています。しかし、ことはそう簡単ではありません。

2週間前に判決が下った老々介護殺人。事件は去年7月、東京都の国立市で起きました。被告の女性は、ケアマネにも相談し、犯行直前には、警察と消防にも連絡を入れています。それでも、介護殺人を防げなかったのです。一人で介護していた71歳の娘が、102歳の認知症の母親を殺めてしましました。

下の動画のなかで、犯行時の被告人の心境が語られています。絶望感に襲われていく様子がよく分かり、胸が締め付けられる思いがします。

11月17日に、東京地裁立川支部で開かれた判決公判。裁判官は、「介護負担は決して楽なものではなかった」「被告の対応能力を超えていた」と、12年にわたって介護を担ってきた被告に、実刑ではなく、保護観察つき執行猶予の判決を下しました。

こうしたケースの場合、注意しなくてはならないのは、社会に戻った元被告が、自ら命を絶ってしまうことです。彼女には、保護観察官だけではなく、福祉職の人が寄り添っていく必要があるのではないでしょうか。

ただし、今、福祉の現場も疲弊しています。介護に疲弊した人が相談するその相手も疲弊しているのです。

介護従事者の人達の給与を、全産業平均のレベルまでアップするには、約3兆円の公的資金が必要となります。

大きな額に思えるかもしれませんが、米国に投資するお金の27分の1。それだけのお金で、二百数十万人の介護従事者の暮らし、そして結果的に、老々介護の当事者達の命を守ることになるのなら、決して高い投資額ではないと思います。

「もう駄目と思った」71歳女 犯行直後のやりとり

老老介護の末102歳の母殺害 初公判

「もう駄目と思った」71歳女 犯行直後のやりとり 老老介護の末102歳の母殺害 初公判【スーパーJチャンネル】(2025年11月5日)
102歳の母親を殺害した罪に問われている71歳の女の初公判が開かれました。母親を介護していた女が感じた「絶望の瞬間」が明かされました。■71歳女 犯行直後のやりとり 初公判で明かされた、被告が警察に通...