2026年6月29日 筋痛性脳脊髄炎等の難病患者および新型コロナウイルス感染症後遺症患者に対する障害福祉サービスの適切な提供並びに障害認定の適正化に関する質問主意書を提出

第221回国会 提出

質問本文情報

令和8年6月29日提出
質問第22号

提出者  山本ジョージ

筋痛性脳脊髄炎等の難病患者および新型コロナウイルス感染症後遺症患者に対する障害福祉サービスの適切な提供並びに障害認定の適正化に関する質問主意書

 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(以下「ME/CFS」という。)、線維筋痛症、および新型コロナウイルス感染症の後遺症(以下「コロナ後遺症」という。)に罹患した患者の中には、激しい倦怠感や全身の激しい疼痛を伴い、重症化すると寝たきりとなり、排泄に介助(おむつ等)を要するなど、日常生活を自力で営むことが極めて困難となる事例が多数報告されている。特にコロナ後遺症においては、ME/CFSと極めて類似した、あるいは移行したとみられる重篤な病態(活動後の著しい症状悪化(PEM:Post-Exertional Malaise)等)を呈し、年齢を問わず新たな生活困難者が生じている。
 しかしながら、これらの疾患は外見から病状が分かりにくく、一般的な客観的検査数値に表れにくい特性を有していること、また専門的知識を有する医師が極めて限定的であること等から、障害者手帳の取得や障害認定において多大なる困難が生じている。実際には、寝たきりで排泄介助を要するほど重篤な状態にあるにもかかわらず、障害等級が比較的軽度(身体障害者手帳五級等)に認定されるなど、生活実態と認定結果との間に著しい乖離が生じており、必要な障害福祉サービスに結びつかない状況がある。
 さらに、地方自治体の現場においては、「障害者総合支援法に基づく対象疾病(指定難病等)に疾病名が明確に位置付けられていない」「診断書を作成できる専門医が身近にいない」等の理由により、障害福祉サービスの申請自体が受理されない、あるいは十分な検討がなされない事例も指摘されている。また、同居家族がいる世帯においては、訪問介護(ヘルパー)による支援が「患者本人分の食事のみ」「共用部分の清掃は対象外」といった画一的・形式的な運用にとどまることにより、病床にある親が子どもの養育を行えない、あるいは高齢の家族が衛生環境を維持できず、結果としてヤングケアラーを生み出すなど家庭生活の維持を困難にする要因となっている。
 これらの課題は、病名や家族構成のみで支援の可否を一律に判断するのではなく、実際の生活機能障害の程度および世帯としての生活維持の実態を総合的に勘案する運用の見直しが不可欠である。
 従って、以下の事項について質問する。

1 障害者手帳の認定基準および運用における生活実態・病態特性の反映について
 政府は、ME/CFS、線維筋痛症、およびコロナ後遺症等の患者について、寝たきりや排泄介助を要するほどの重篤な状態であるにもかかわらず、障害者手帳の等級が比較的軽度に認定されるなど、生活実態と乖離している事例があることを把握しているか。客観的な検査数値に表れにくい疾患であっても、日常生活動作(ADL)や実際の生活実態、とりわけ「活動後の著しい症状悪化(PEM)」により持続的な就労や家事が不可能となっている病態特性が適切に反映されるよう、障害者手帳の認定基準および運用の妥当性について検討し、必要な見直しを行う意思はあるか、見解を述べられたい。
2 専門医不足に伴う診断書作成の困難性および自治体窓口への周知について
 これらの疾患の診断や適切な診断書の作成ができる専門医が非常に限られているため、地方在住の患者等が障害福祉サービスの申請に必要な診断書を入手できないという実態がある。国として、主治医や地域の一般医がこれらの疾患の重症度を適切に評価し、障害認定や福祉サービスの申請に資する診断書を作成できるよう、最新の知見を反映したガイドラインの周知や専門的知見の普及を進める具体的な施策はあるか明らかにされたい。あわせて、窓口となる地方自治体に対し、専門医の少なさを理由に申請を拒むことがないよう指導を行う考えはあるか。
3 病名や手帳の有無に左右されない障害福祉サービスの提供について
 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスに関し、ME/CFSやコロナ後遺症等が制度上の疾病区分(支給対象となる難病等)に明確に位置付けられていない、あるいは手帳がないことを理由に、自治体の窓口で受給者証の交付や申請自体が制限される事例があるとされるが、政府の認識は如何か。同法においては「手帳の有無を問わず、心身の障害や難病等により一定の制限がある者」が対象とされているはずであるが、病名や手帳の有無のみを理由として必要な支援から排除されることがないよう、生活機能障害の程度に基づき速やかにサービスに繋げるための法制度上の運用の明確化について、政府の見解を求めたい。
4 同居家族がいる世帯への柔軟なサービス運用のあり方とヤングケアラー防止策について
 同居家族がいる場合であっても、患者が重症で家事や育児が全くできない場合、訪問介護等のサービスにおいて「同居家族がいるから」として一律に共用部分の清掃や家族分の調理等の支援を対象外とする形式的な運用は、世帯全体の困窮やヤングケアラー化を招く危険性がある。国として、家族の状況や実質的な介護・養育能力の有無を総合的に勘案し、家庭生活を維持するために柔軟なサービス提供(家事援助の対象拡大等)を認めるよう、地方自治体に対して通知等で運用の弾力化を促す考えはあるか。

 右質問する。